「年収440万円以上の職員が2人」― 届出の勤務では最高でも年約240万円、同じ賃金のちるどれんは0人

最終更新: 2026年10月14日

主な出典公文書公開情報出典の扱い方

このページは「処遇改善加算の検証」の令和7年度の実績報告書に関する連載の第5回(最終回)です。

第3回で触れた「年収440万円以上の職員が2人」という報告を取り上げます。大阪市への届出と求人の賃金に照らし、同じ賃金で求人を出していた合同会社ちるどれんの報告と並べます。

何が問題か

「年収440万円以上の職員が2人いる」という報告が、届出の勤務と求人の賃金からは出てきません。

届出の勤務と求人の日給で計算した年収 ― 440万円との差

最高でも年約240万円、報告は440万円以上が2人

合同会社Yorimado・令和7年度。同じ賃金で求人を出していた合同会社ちるどれんは「0人」と報告

両法人の届出を並べた表を見る

いちばん勤務の多い職員の年収(目安)と、要件の年収

  • Yorimado でいちばん勤務の多い職員(週2回・日給15,000円) 約156万円
  • 同じ職員を、求人の最高額の日給23,000円で計算 約240万円
  • ちるどれんの職員(週3.5回・日給15,000円)― 報告は「0人」 約273万円
  • 要件の年収 ― Yorimado の報告は「2人」 440万円以上

年収は、大阪市への届出(令和7年7月からの体制)の勤務の回数に、令和7年度の間の求人の日給を掛けた目安で、実際の賃金ではありません。賞与や手当は含めていません。年収440万円に必要な夜勤は、日給23,000円で週約3.7回、日給15,000円で週約5.6回です。ちるどれんは、大阪市に届出のあるショートステイちるどれん今福鶴見の職員です。

図解:届出の勤務の回数に求人の日給を掛けた年収の目安と、処遇改善加算の要件である年収440万円を比べた横棒。合同会社Yorimado(しょーとすていYorimado)でいちばん勤務の多い職員は週2回で、日給15,000円なら年約156万円、求人の最高額の日給23,000円で計算しても年約240万円。合同会社ちるどれん(ショートステイちるどれん今福鶴見)の職員は週3.5回で、日給15,000円なら年約273万円。年収440万円以上の職員について、Yorimado は2人、ちるどれんは0人と報告している。年収は目安で、実際の賃金ではない。

図:届出の勤務と求人の日給で計算した年収と、要件の年収440万円(令和7年度)
事業者の報告
合同会社Yorimado は、令和7年度の実績報告書で、改善後の年収が440万円以上の職員が2人いると報告した(短期入所のしょーとすていYorimado に1人、行動援護のちるMado に1人)。計画書では0人だった
記録が示すこと
大阪市への届出では、管理者を除く職員の勤務は多い人でも週2回。令和7年度の間の求人では、夜勤の日給は15,000円、最高額は23,000円。週2回の勤務では、最高額で計算しても年約240万円
なぜ問題か
年収440万円には、最高額の日給でも週約3.7回の夜勤が必要で、届出の勤務では届きません。同じ賃金で求人を出し、届出の勤務が1人週3.5回とより多い合同会社ちるどれんは、440万円以上の職員は0人と報告しています

同じ賃金で募集し、同じ日に、同じ書き方で実績報告書を出した2つの法人のうち、1人あたりの勤務が多い側が「440万円に届く職員はいない」と報告し、少ない側が「2人いる」と報告しています。

計画書の0人が、実績報告書で2人に

処遇改善加算の上位区分には、「改善後の賃金が年額440万円以上となる職員を1人以上置く」という要件があります。満たせない場合は、理由を選んで報告します。両法人の記載は次のとおりです。

合同会社Yorimado合同会社ちるどれん
計画書(令和7年4〜5月)0人。理由「小規模事業所等で職員間の賃金バランスに配慮が必要のため」0人。理由は Yorimado と同じ選択肢
実績報告書(令和8年7月)2人(しょーとすていYorimado 1人、ちるMado 1人)0人(2つの事業所とも)。理由「職員全体の賃金水準が低い、地域の賃金水準が低い等の理由により、直ちに年額440万円まで賃金を引き上げることが困難であるため」

計画書の時点では、両法人とも「0人」で、理由も同じでした。年度が終わったあとの報告で、2つの法人の記載が分かれています。短期入所の事業所どうしで比べると、Yorimado が1人、ちるどれんが0人です。

年度内の求人の賃金は、両法人で同じ

令和7年度の間に出ていた両法人の夜勤の求人を並べます。

時期・媒体合同会社Yorimado(しょーとすていYorimado)合同会社ちるどれん(ショートステイちるどれん今福鶴見)
令和7年5月・Indeed日給15,000円以上(研修期間中13,000円〜)日給15,000円以上(研修期間中13,000円〜)
令和7年10〜11月・ジモティー「日当最低15000円!」。研修13,000円。「うちの会社で一番多い人は23000円(パート)」「日当最低15000円!」。研修13,000円。「うちの会社で一番多い人は25000円(パート)」

求人の画面記録と、文章の一致(同じ誤字が同じ位置にあることなど)は、合同会社ちるどれんとの関係 ― 求人 に掲載しています。Yorimado の求人の賃金の整理は 第3回。

夜勤の日給と研修中の日給は、両法人で同じです。「一番多い人」の額だけが、23,000円と25,000円で違います。

届出の勤務は、ちるどれんのほうが多い

両法人は、令和7年7月からの体制について、同じ様式の一覧表(従業者等の勤務体制及び勤務形態一覧表)を大阪市に提出しています。年収が440万円に届くかどうかは、1人がどれだけ勤務するかで決まるので、1人あたりの勤務の回数を比べます。

しょーとすていYorimadoショートステイちるどれん今福鶴見
提出の理由重度支援加算の届出(令和7年7月1日から)新規の指定(令和7年7月1日開設)
利用定員6名8名
管理者を除く職員看護職員1人、生活支援員2人、世話人1人の計4人(ほかに勤務0時間の世話人1人)生活支援員8人(ほかに調理員1人)
1人あたりの勤務の回数看護職員と生活支援員1人が週2回、ほかの2人は週1回生活支援員8人とも週3.5回(4週間で14回)
日給15,000円での年収(いちばん多い職員)約156万円約273万円
管理者常勤・専従(週28.50時間)常勤・専従(週40.00時間)

年収 = 週の回数 × 52週 × 15,000円。賞与や手当は含めていません。一覧表の記入は、Yorimado が1回16時間、ちるどれんが1回8時間と書き方が違うため、時間ではなく回数で数えています(どちらの求人も、夜勤1回が日給1回分です)。ちるどれんのもう1つの事業所(東大阪市)は、指定を行うのが東大阪市のため大阪市への届出がなく、並べているのは今福鶴見だけです。Yorimado の届出の内容は 第4回。

届出のとおりであれば、Yorimado の職員は、求人の最高額(日給23,000円)で計算しても、週2回の勤務では年約240万円です。年収440万円には届きません。

すでに掲載している共通点

両法人の実績報告書には、ほかにも共通点があります。合同会社ちるどれんとの関係のページに掲載しています。

  • 実績報告書は、同じ日に22分差で提出された。記入の仕方もほぼ同じ(→ エビデンス②)。
  • 計画書の見込みに対する実績の加算額は、両法人の3事業所すべてで7〜19倍(→ エビデンス④)。

確認できたこと・できていないこと

確認できたこと — 両法人の求人の記載(当サイトが公開当時に記録したもの)。両法人の計画書・実績報告書・勤務体制の一覧表の記載(大阪市の公文書)。

確認できていないこと

  • 年収440万円以上の2人がだれか。様式には人数だけを書きます。届出には、両法人とも常勤の管理者が載っています(Yorimado には常勤の看護職員も)。求人の賃金で働く職員ではなく、こうした職員が440万円以上にあたる可能性があります。ちるどれんは、常勤の管理者がいても0人と報告しています。
  • 両法人の実際の賃金。求人に書かれた賃金は同じですが、別の法人であり、実際に支払われた賃金が同じとは限りません。賞与や手当があった可能性もあります。
  • 実際の勤務の回数。一覧表は4週間の予定を書いたもので、実際の勤務や、その後の採用・退職は反映されません。Yorimado の届出は、令和8年3月から変わっています(→ 第4回)。
  • ちるどれんの東大阪市の事業所の職員体制。大阪市への届出がないため、並べていません。

当サイトの見方 — Yorimado の届出と求人からは、年収440万円に届く職員は出てきません。同じ賃金で募集し、1人あたりの勤務がより多い合同会社ちるどれんは、「賃金水準が低く、440万円に届く職員はいない」と報告しています。Yorimado の「2人いる」という報告が実態に合っているなら、届出の勤務や求人の賃金とは違う条件で働く職員が2人いることになります。それがどの職員で、いくらの賃金だったのかは、賃金台帳と照らせば書面で確認できる事柄です。

出典・根拠

  • 計画書・実績報告書:両法人の令和7年度 福祉・介護職員等処遇改善計画書・実績報告書(大阪市の情報公開制度で入手)。
  • 求人:Indeed(令和7年5月28日に印刷して記録した両法人の求人)、ジモティー(Yorimado 令和7年10月10日作成、ちるどれん 令和7年11月7日作成)。当サイトが公開当時の画面を記録したもの。
  • 届出:「従業者等の勤務体制及び勤務形態一覧表」。しょーとすていYorimado は令和7年8月13日受付の重度支援加算の届出に添付されたもの、ショートステイちるどれん今福鶴見は新規の指定の申請に添付されたもの。いずれも大阪市の情報公開制度で入手(職員の氏名は掲載していません)。
  • 計算:年収440万円に必要な夜勤 = 440万円 ÷ 日給 ÷ 52週。年収 = 週の回数 × 52週 × 日給。
  • 本ページは記録の記載を整理したものであり、不正があったと断定するものではありません。合同会社ちるどれんの運営を評価するものでもありません。

連載の一覧 ― 令和7年度の実績報告書

  1. 第1回令和7年度 計画と実績年度の初めに届け出た加算の見込みが、実際の約14分の1でした。
  2. 第2回賃金改善の報告と給与「毎月の賃金で上乗せした」という報告と、記録に残る給与の動きが合いません。
  3. 第3回求人の賃金と処遇改善求人に書かれた賃金では、報告された上乗せを配りきれません。
  4. 第4回職員体制と上乗せの額報告された賃金の上乗せが、職員の年収の合計を上回っています。
  5. 第5回年収440万円の報告と関連法人このページ「年収440万円以上の職員が2人いる」という報告が、届出の勤務と求人の賃金からは出てきません。

よくある質問

年収440万円以上の職員の報告は、なぜ大事なのですか?
処遇改善加算の上位区分の要件の1つで、事業者が実績報告書に人数を書いて報告します。様式には、虚偽の記載があった場合は報酬の返還や指定の取消しとなる場合がある、と書かれています。満たせない場合は理由を書いて報告すればよく、合同会社ちるどれんは0人と報告しています。
なぜ合同会社ちるどれんと比べるのですか?
合同会社Yorimado と合同会社ちるどれんは別の法人ですが、求人の文章や賃金、大阪市への提出書類に多くの共通点があり、令和7年度の実績報告書も同じ日に22分差で提出されています。条件の近い相手と並べることで、Yorimado の報告のどこが分かれているかが見えるためです。このページは、合同会社ちるどれんの運営そのものを評価するものではありません。
ちるどれんが0人なら、Yorimado の2人は誤りということですか?
断定できません。別の法人であり、実際の賃金が同じとは限りません。両法人とも常勤の管理者が届出に載っており、求人の賃金で働く職員以外の人が440万円以上にあたる可能性もあります。当サイトが確認点としているのは、届出の勤務と求人の賃金からは440万円に届く職員が出てこないのに、Yorimado が「2人いる」と報告している点です。
Yorimado の2人のうち、短期入所の職員は何人ですか?
実績報告書では、しょーとすていYorimado(短期入所)に1人、ちるMado(行動援護)に1人と書かれています。ちるどれんは、短期入所の2つの事業所とも0人です。

更新履歴

  • 2026-10-14 — 本ページを公開しました(→ NEWS)。

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