求人に書かれた賃金と、処遇改善加算の実績報告 ― しょーとすていYorimado
最終更新: 2026年10月14日
主な出典公開情報公文書内部資料出典の扱い方
このページは「処遇改善加算の検証」の令和7年度の実績報告書に関する連載の第3回です。
このページは、公開当日(2026年10月10日)に記載の一部を訂正しています(→ 更新履歴)。
処遇改善加算で職員の賃金を引き上げたのであれば、その結果は、職員を募集する求人の条件にも現れるのが自然です。しょーとすていYorimado の夜勤の求人のうち、当サイトが公開当時の画面を記録しているものを時期の順に並べ、第2回で見た実績報告書の内容と照らし合わせます。
何が問題か
求人に書かれた賃金では、報告された上乗せを配りきれません。
令和7年度の求人の賃金で、加算を人数に直すと
約7人で足りる夜勤に、約11〜45人分の上乗せ
令和7年度の処遇改善加算 約854万円(しょーとすていYorimado 分)を、夜勤の賃金の上乗せとして配ったとした場合
計算の前提と内訳を見る- 事業所を回すのに必要な夜勤職員 毎晩2名体制・日曜を除く年313夜 約7人
加算 約854万円を配るのに必要な夜勤職員
- 夜勤の全員が最高額の場合 日給15,000円→23,000円(+8,000円) 約11人
- 研修後の引き上げ分で配る場合 日給13,000円→15,000円(+2,000円) 約45人
事業所を回すのに必要な人数(約7人) それを超える分
人数は、1人が月8回(週2回ほど)夜勤に入るとした場合の目安で、実際の職員の数ではありません。夜勤以外の職員への配分や、求人に書かれていない賞与・手当は含めていません。
図解:しょーとすていYorimado の令和7年度の処遇改善加算 約854万円を、令和7年度の間の求人に書かれた夜勤の賃金の上乗せとして配った場合に必要な夜勤職員の人数。事業所を回すのに必要な夜勤職員は、毎晩2名体制で約7人。これに対し、夜勤の全員が最高額の日給23,000円(15,000円からの上乗せ8,000円)だった場合は約11人、研修後の引き上げ(13,000円から15,000円への上乗せ2,000円)を上乗せとみる場合は約45人が必要になる。人数は1人が月8回夜勤に入るとした場合の目安で、実際の職員の数ではない。
- 事業者の報告
- 令和7年度の処遇改善加算(しょーとすていYorimado の分で約854万円)以上を、職員の賃金に上乗せした(→ 第2回)
- 記録が示すこと
- 令和7年度の間に出ていた求人では、夜勤の日給は15,000円(研修中13,000円)、最高額は「一番多い人」の23,000円。賞与や処遇改善手当の記載はない
- なぜ問題か
- この賃金で約854万円を上乗せとして配るには、約11人〜45人の夜勤職員が必要になる計算です。事業所を回すのに必要なのは、毎晩2名体制でも約7人、1名体制なら約3人です
夜勤の求人の賃金(時期の順)
処遇改善加算の算定は令和7年4月に始まっています(開設の令和6年12月から令和7年3月までは算定なし)。実績報告書が対象とする令和7年度は、令和7年4月から令和8年3月までです。求人を、この年度の間に出ていたものと、年度が終わったあとのものに分けます。
令和7年度の間に出ていた求人
| 時期 | 媒体 | 夜勤の賃金 | 賞与・昇給・手当の記載 |
|---|---|---|---|
| 令和7年5月 | タウンワーク(掲載企業名は合同会社ちるどれん) | 日給15,000円(研修期間中13,000円〜) | ― |
| 令和7年5月 | Indeed(合同会社Yorimado名義) | 日給15,000円以上(研修期間中13,000円〜) | 随時昇給あり |
| 令和7年10月 | ジモティー | 日給13,000円(研修以降は15,000円)。「日当最低15000円!」「うちの会社で一番多い人は23000円(パート)」 | ― |
令和7年度が終わったあとの求人
| 時期 | 媒体 | 夜勤の賃金 | 賞与・昇給・手当の記載 |
|---|---|---|---|
| 令和8年5月 | ジモティー(令和7年10月と同じ投稿ID) | 日給13,000円(研修以降は15,000円)。「弊社での最高日当は23000円です!(パート)」 | 「実績に応じて、賞与もお渡ししています」 |
| 令和8年7月 | ジョブポスター(Indeedにも配信) | 日給15,000円〜22,900円。「入職1年目で日給2万2900円のスタッフも在籍」 | 賞与あり(「週2回勤務:25万円支給(今年8月実績)」)。送迎手当(1件目1,200円、2件目以降800円) |
各求人の画面記録は、合同会社ちるどれんとの関係 ― 求人・Yorimado求人の検証・収支・求人 に掲載しています。どの求人にも「処遇改善手当」の記載はありません。
夜勤の日給の下限(15,000円・研修中13,000円)は、令和7年5月から令和8年7月まで同じです。年度の間の求人に見える上乗せの手がかりは、研修後の+2,000円(13,000円→15,000円)と、最高額との差の+8,000円(15,000円→23,000円)の2つです。賞与の記載は、年度の間の求人にはありません。
年度内の求人の条件で、加算を人数に直すと
令和7年度の処遇改善加算のうち、しょーとすていYorimado の分は 8,544,418円です。このうち 3,089,962円以上は、基本給か毎月決まって支払う手当で上乗せしたと報告されています(→ 第2回。法人全体では 8,995,626円・3,242,413円)。
この額を、年度内の求人に書かれた夜勤の賃金の上乗せとして配ったとすると、どれだけの夜勤・人数が必要になるかを計算しました。
| 上乗せの形 | 加算の全額(約854万円)を配るには | うち毎月の上乗せ(約309万円)だけでも |
|---|---|---|
| 研修後の+2,000円(13,000円→15,000円) | 夜勤 年約4,270回 = 約45人 | 夜勤 年約1,550回 = 約16人 |
| 全員が最高額(15,000円→23,000円の+8,000円) | 夜勤 年約1,070回 = 約11人 | 夜勤 年約390回 = 約4人 |
人数は、1人が月8回(週2回ほど)夜勤に入るとした場合。求人は「週1日〜」「ダブルワーク大歓迎」として募集しています。
一方、事業所を回すのに必要な夜勤の数は、次のとおりです。
「毎晩2名体制」は、令和8年7月の求人にある「基本2名体制」の記載にもとづく前提です。この求人は令和7年度が終わったあとのもので、令和7年度の間の求人には、夜勤の人数の記載がありません。大阪市への届出(運営情報)では、必要な職員の数は、令和7年8月受付の一覧表で1.0人、令和7年12月・令和8年2月の一覧表(令和8年3月からの体制)で2.0人と書かれています。1名体制で計算すると、事業所を回すのに必要な人数は約3人になり、加算を配るのに必要な人数(約11〜45人)との差はさらに大きくなります。
つまり、年度内の求人の条件では、次のようになります。
- 研修後の+2,000円を上乗せとみると、加算を使い切るには約45人の夜勤職員が必要で、毎晩2名体制に必要な人数(約7人)の6倍以上です。
- 夜勤の全員を、求人が「一番多い人」と書く最高額の23,000円で払っていたとしても、上乗せは年約500万円で、加算の854万円に届きません。
- 加算の額(約854万円)は、毎晩2名の夜勤すべての賃金(日給15,000円で年約940万円)の約9割にあたります。
年度後の求人の条件をあてはめても
年度が終わったあとの求人に書かれた条件(日給22,900円・賞与25万円)を、仮に令和7年度にさかのぼってあてはめた場合も計算しました。
- 毎月の上乗せ(約309万円)
- 日給15,000円→22,900円の差(+7,900円)でまかなうには、夜勤 年約390回。毎晩2名体制の夜勤(年約630回)の約6割が22,900円である必要がある
- 残り(約545万円)
- 1人25万円の賞与で配るには、約22人分。毎晩2名体制に必要な人数(約7人)の約3倍
令和7年度が終わったあとの求人に加わった記載
令和8年5月・7月の求人には、令和7年度の間の求人にはなかった記載が加わっています。
- 賞与(一時金)
- 「実績に応じて、賞与もお渡ししています」(令和8年5月)、「パートさんにも賞与支給(週2回勤務で25万円支給実績あり/今年8月)」(令和8年7月)。賞与は、処遇改善加算の賃金改善額に含めることができる。
- 日給の引き上げ
- 「入職1年目で日給2万2900円のスタッフも在籍」(令和8年7月)。下限15,000円からの引き上げであれば、毎月の賃金での上乗せにあたりうる。
これらは令和7年度が終わったあとの求人ですが、令和7年度の間の実績を書いている可能性があります。令和8年7月の求人は賞与の実績として「今年8月」を挙げています。掲載は令和8年7月なので、令和7年8月を指している可能性があります(求人の文面からは確定できません)。会計記録でも、代表者・親族名義以外の職員への給与は、令和7年8月が約73万円、12月が約78万円で、4〜7月(月約16〜23万円)より大きくなっています。
ただし、代表者・親族名義以外の職員への給与は、令和7年4〜12月の9か月の総額で約302万円です(→ 第2回)。実績報告書が報告している上乗せのうち、毎月の基本給・手当の分(法人全体で年324万円以上)だけでも、この総額を上回ります。
「年収440万円以上の職員」― 計画書の0人が、実績報告書で2人に
処遇改善加算の上位区分には、「改善後の賃金が年額440万円以上となる職員を1人以上置く」という要件があります。同じ令和7年度について、計画書は該当する職員を「0人」、実績報告書は「2人」と書いています。年度内の求人の最高額(日給23,000円)でも、年収440万円には年約191回(月約16回)の夜勤が必要です。
一方、会計記録で代表者・親族名義以外の職員に支払われた給与は、令和7年4〜12月の9か月の合計で約302万円です。この合計だけでは、1人分の440万円にも届きません。
計画書と実績報告書の記載の違い、大阪市への届出の勤務の回数、同じ賃金で求人を出していた合同会社ちるどれんの報告との比較は、第5回で取り上げています。
確認できたこと・できていないこと
確認できたこと — 上の求人の記載(当サイトが公開当時に記録したもの)。実績報告書の加算額と「年額440万円以上となる者の数」の記載(大阪市の公文書)。会計記録上の給与の額。
確認できていないこと
- 上乗せの基準。賃金改善額は「加算がなかった場合の賃金」からの上乗せで、その基準の額は求人からは分かりません。処遇改善加算の算定を始める前(令和7年3月以前)の求人は記録がなく、算定の開始と同時に日給そのものを引き上げていた可能性は残ります。ただし、日給15,000円の全額を上乗せとみても、毎晩2名の夜勤の賃金は年約940万円で、加算の額とほぼ同じ規模です。
- 夜勤以外への配分。加算は、夕方・朝のサポートスタッフや日中の職員、常勤の職員にも配分できます。上の人数は、夜勤の賃金だけで配ったとした場合の目安です。
- 求人に書かれていない支払い。年度内の求人に賞与の記載はありませんが、求人に書かずに賞与や手当を支払っていた可能性は残ります。賃金を上げたことに伴う社会保険料の事業主負担の増加分も、賃金改善額に含められます。
- 夜勤の体制と営業日数。毎晩2名・年313夜は、令和8年7月の求人(「基本2名体制」。令和7年度が終わったあとの求人)と日曜定休を前提にした目安で、実際の配置は確認できていません。令和7年度の間の届出では、必要な職員の数は1.0人(令和7年8月受付)と2.0人(令和8年3月からの体制)です。
- 年収440万円以上の2人がだれか。様式には人数だけを書き、氏名も職種も書きません。当サイトも特定しません。日給制の夜勤以外の職員である可能性や、代表者・親族名義の送金先と重なる可能性があります。
- 対象の期間。給与の額は、令和7年4〜12月の9か月分です。令和7年度(令和8年3月まで)の全体ではありません。
当サイトの見方 — 令和7年度の間の求人に書かれた賃金では、加算の額を夜勤の賃金の上乗せとして配るのに、事業所を回すのに必要な人数の数倍の職員が必要になります。年度が終わったあとの求人には賞与や日給の引き上げの記載がありますが、それをさかのぼってあてはめても、必要な人数を大きく超えます。「年899万円以上の上乗せ(うち毎月の賃金で324万円以上)」「年収440万円以上の職員2人」という報告が、だれに、いくら上乗せしたことを指すのかは、賃金台帳と照らせば書面で確認できる事柄です。
出典・根拠
- 求人:タウンワーク(令和7年5月)・Indeed(令和7年5月28日に印刷して記録)・ジモティー(令和7年10月10日作成の画面、および令和8年5月28日作成の表示を令和8年9月3日に記録)・ジョブポスター(令和8年7月2日公開)。いずれも当サイトが公開当時の画面を記録したもの。
- 実績報告書・計画書:令和7年度 福祉・介護職員等処遇改善計画書・実績報告書(大阪市の情報公開制度で入手)。事業所ごとの加算額と「加算Ⅳ相当額の2分の1」は別紙様式3-2の記載。
- 届出:しょーとすていYorimado の「従業者等の勤務体制及び勤務形態一覧表」(令和7年8月13日受付、令和7年12月17日の事前協議・令和8年2月9日受付)。大阪市の情報公開制度で入手。
- 人数の計算:加算額 ÷ 1回あたりの上乗せ額 = 必要な夜勤の回数。人数は1人あたり月8回(年96回)で割った目安。夜勤の総数は、日曜を除く年313夜 × 2名。
- 給与の額:法人の会計記録(仕訳帳。令和7年4〜12月。期間ごとの合計のみ掲載)。会計記録の取り扱いは 編集・検証ポリシー のとおりです。
- 本ページは記録の記載を整理したものであり、不正があったと断定するものではありません。
連載の一覧 ― 令和7年度の実績報告書
よくある質問
「約11人〜45人」というのは、実際の職員の数ですか?
なぜ令和8年の求人を分けているのですか?
処遇改善加算を受けている事業所は、求人に処遇改善手当を書かなければならないのですか?
年収440万円以上の職員がいないと、加算は受けられないのですか?
年収440万円以上の2人は誰ですか?
更新履歴
- 2026-10-14 — 「年収440万円以上の職員」の節を要点に絞りました。計画書と実績報告書の記載の違いや、届出の勤務・合同会社ちるどれんの報告との比較は、第5回にまとめています。
- 2026-10-12 — ページの冒頭に「何が問題か」の節を置いて図をその中に移し、末尾に連載の一覧を追加して、構成を整理しました。
- 2026-10-12 — 「毎晩2名体制」の前提について注記を加えました。この前提は令和8年7月の求人(令和7年度が終わったあとの求人)の記載にもとづくもので、令和7年度の間の届出では必要な職員の数が1.0人(令和7年8月受付)と2.0人(令和8年3月からの体制)であること、1名体制で計算すると必要な人数は約3人になることを明記しています。計算と結論は変えていません。
- 2026-10-10(公開当日の訂正・追加) — ①訂正:令和7年10月のジモティー求人について、本文の「うちの会社で一番多い人は23000円(パート)」の記載を書き落とし、「上限の額の記載は令和8年の求人で加わった」としていました。最高額23,000円の記載は令和7年10月の求人にすでにあったため、表と本文を改めました。②求人の表を、令和7年度の間のものと、年度が終わったあとのものに分けました。賞与と日給22,900円の記載は年度が終わったあとの求人のものであることを明記しています。③年度内の求人の条件で、加算の額を夜勤の回数・人数に直した計算を追加しました。④その計算を1枚の図にして、ページの冒頭に掲載しました。
- 2026-10-10 — 本ページを公開しました(→ NEWS)。