職員4人の年収は合計約468万円、賃金の上乗せは854万円以上 ― 届出と給与の記録
最終更新: 2026年10月20日
主な出典公文書内部資料公開情報出典の扱い方
このページは「処遇改善加算の検証」の令和7年度の実績報告書に関する連載の第4回です。
第3回では、求人に書かれた賃金で処遇改善加算を配るには、何人の職員が必要になるかを計算しました。このページでは、事業者が大阪市に届け出た職員の体制と、法人の会計記録に残る給与の額を並べ、上乗せを受け取る職員が実際にどれだけいるかを確かめます。
何が問題か
報告された賃金の上乗せが、職員の年収の合計を上回っています。
届出に載る職員の年収と、報告された上乗せ
職員4人の年収の合計 約468万円に、854万円以上の上乗せ
しょーとすていYorimado・令和7年度。上乗せは、もとの賃金に足すもの
計算のもとになった届出を見る職員は、大阪市への届出(令和7年7月からの体制)に載る、管理者を除く4人。年収は、届出の勤務の回数に求人の日給を掛けた目安で、実際の賃金ではありません。上乗せを4人で割ると1人約214万円で、届出でいちばん勤務の多い職員の年収(約156万円)を上回ります。
図解:しょーとすていYorimado の令和7年度について、大阪市への届出に載る職員4人(管理者を除く)の年収の合計と、事業者が報告した賃金の上乗せを比べた横棒。職員4人の年収の合計は、求人の日給15,000円で計算して約468万円、全員が最高額の日給23,000円でも約718万円。報告された賃金の上乗せは、処遇改善加算の額にあたる約854万円以上で、どちらの年収の合計も上回る。年収は届出の勤務の回数に求人の日給を掛けた目安で、実際の賃金ではない。
- 事業者の報告
- 令和7年度に受け取った処遇改善加算(しょーとすていYorimado の分で約854万円)以上を、職員の賃金に上乗せした(→ 第2回)
- 記録が示すこと
- 大阪市への届出に載る職員は4人(管理者を除く)。届出のとおりに勤務し、求人の日給15,000円が支払われたとすると、4人の年収の合計は約468万円
- なぜ問題か
- 上乗せは、もとの賃金に足すものです。4人の年収の全額を上乗せとみなしても約468万円で、報告された上乗せ(約854万円以上)の半分ほどにしかなりません
給与の記録も、同じ規模を示しています。代表者・親族名義以外の職員に支払われた給与は、令和7年4〜12月の9か月で約302万円でした。届出と給与の記録はほぼ合っていて、どちらも、報告された上乗せを受け取るだけの職員がいないことを示しています。
届出に載る職員と、その年収
事業者は、加算や定員を変えるときに「従業者等の勤務体制及び勤務形態一覧表」を大阪市に提出します。変更の日から4週間分の勤務の予定を、職員ごとに書く表です。令和7年8月13日受付の一覧表(重度支援加算の届出。加算は令和7年7月1日から)には、管理者を除いて次の職員が載っています。
| 職員 | 届出の勤務 | 日給15,000円での年収 |
|---|---|---|
| 看護職員 | 週2回 | 約156万円 |
| 生活支援員 | 週2回 | 約156万円 |
| 生活支援員 | 週1回 | 約78万円 |
| 世話人 | 週1回 | 約78万円 |
| 世話人 | 勤務0時間 | 0円 |
| 合計 | 週6回(1日1人) | 約468万円 |
年収 = 週の回数 × 52週 × 15,000円。日給15,000円は、令和7年度の間の求人に書かれた夜勤の日給です(→ 第3回)。届出上の必要な職員の数は1.0人で、一覧表の「サービス提供時間 16時間」に対し、勤務は1回16時間・週6回です。
求人が「一番多い人」と書く日給23,000円で全員を計算しても、4人の年収の合計は約718万円で、加算の約854万円に届きません。
給与の記録も、同じ規模
届出に書かれた体制が、実際の給与の記録と合っているかを確かめます。このページで使う給与の記録は、令和7年4〜12月の分です(給与の記録の全体は 第2回)。
看護職員の勤務(週2回)は、月約26万円の計算から除いています。届出では看護職員の氏名が黒塗りで、だれにあたるかは確認できません(→ 運営情報)。給与には、夕方・朝のサポートスタッフや、もう1つの事業所(ちるMado)の職員の分も含まれます。
届出に書かれた体制と、記録に残る給与は、ほぼ同じ規模です。同じ9か月に、しょーとすていYorimado の処遇改善加算は約624万円ありました。加算の額は、代表者・親族名義以外の職員に支払われた給与の総額の約2倍です。
年度の終わりに、届出の体制は変わっている
令和7年12月17日の事前協議と、令和8年2月9日受付の届出(利用定員の変更。変更は令和8年3月1日から)では、一覧表の内容が変わっています。
- 届出上の必要な職員の数
- 1.0人 → 2.0人
- 管理者を除く職員
- 4人 → 看護職員1人、生活支援員10人
- 1日あたりの勤務
- 1日1人(1回16時間)→ 生活支援員が1日2人(1回8時間)。看護職員は毎日8時間
生活支援員などの1日の勤務時間の合計は、どちらの一覧表も16時間です(1人×16時間と、2人×8時間)。あとの一覧表は、10人のうち2人の行で合計欄が空欄になっているため、人数と回数は日ごとの記入を数えています。管理者・看護職員の勤務形態の変化は 管理者の勤務実態 で取り上げています。
この体制は、令和8年3月からの予定です。令和7年度の処遇改善加算は令和7年4月から毎月発生しており、その大半は、体制が変わる前の期間のサービスに対するものです。
第3回の計算と、同じ単位で並べると
第3回では、加算を夜勤の賃金の上乗せとして配るのに必要な人数を、「1人が月8回勤務する」として数えました。届出と給与の記録を同じ数え方に直すと、次のとおりです。
| 何の人数か | 月8回の勤務に直した人数 |
|---|---|
| 給与の記録で払える勤務(代表者・親族名義以外、令和7年4〜12月) | 約3人分 |
| 届出(令和7年7月からの体制) | 約3人分 |
| 届出(令和8年3月からの体制) | 約8人分 |
| 処遇改善加算を配るのに必要な夜勤職員(第3回) | 約11〜45人分 |
確認できたこと・できていないこと
確認できたこと — 届出の一覧表の記載(大阪市の公文書)。求人に書かれた日給。会計記録上の給与の額。
確認できていないこと
- 実際の勤務と賃金。一覧表は4週間の予定を書いたもので、実際の出勤を記録したものではありません。年収は求人の日給で計算した目安で、看護職員など、求人と違う賃金の職員がいる可能性があります。
- 夜間の職員以外への配分。処遇改善加算は、管理者や日中の職員にも配分できます。賞与や、賃金を上げたことに伴う社会保険料の事業主負担の増加分も、上乗せに含められます。
- 代表者・親族が担った勤務。代表者や親族が職員として勤務していた場合、その分の賃金は加算の配分先になりえます(役員報酬は対象外です。→ 代表者・親族名義への送金:処遇改善加算との関係)。
- 記録に出ない支払い。給与の一部が、会計記録の「給料賃金」以外の形で支払われていた可能性は、記録からは排除できません。
当サイトの見方 — 届出と給与の記録は、令和7年度の大部分について、1日1人の勤務を4人ほどの職員で回すという同じ規模を示しています。その職員の年収をすべて足しても、報告された上乗せの額に届きません。「職員の賃金を上げるために受け取った加算の額以上を、上乗せに充てた」という報告が成り立つには、届出に載る4人以外のだれかの賃金が、数百万円の単位で引き上げられている必要があります。それがだれの、どの賃金なのかは、出勤簿・賃金台帳と照らせば書面で確認できる事柄です。
出典・根拠
- 届出:しょーとすていYorimado の「従業者等の勤務体制及び勤務形態一覧表」(添付書類第1号)。令和7年8月13日受付の重度支援加算の届出に添付されたもの、令和7年12月17日の事前協議と令和8年2月9日受付の利用定員の変更の届出に添付されたもの。いずれも大阪市の情報公開制度で入手(氏名は黒塗り)。
- 加算額:令和7年度 処遇改善加算 実績報告書(別紙様式3-2。しょーとすていYorimado 8,544,418円)。9か月の額(約624万円)は、大阪市が提供した給付の実績データ。法人全体の加算額は8,995,626円です(→ 第1回)。
- 求人の日給:令和7年5月の Indeed・タウンワーク、令和7年10月のジモティー(→ 第3回)。
- 給与の額:法人の会計記録(仕訳帳。令和7年4〜12月)。会計記録の取り扱いは 編集・検証ポリシー のとおりです。
- 計算:年収 = 週の回数 × 52週 × 日給。月約26万円 = 週4回 × 52週 ÷ 12か月 × 15,000円。人数は、年間の勤務の回数 ÷ 96回(月8回 × 12か月)。
- 年収や人数は目安であり、実際の賃金・職員の数ではありません。
- 本ページは記録の記載を整理したものであり、不正があったと断定するものではありません。
連載の一覧 ― 令和7年度の実績報告書
よくある質問
届出と給与の記録が合っているなら、問題はないのではありませんか?
「上乗せ」は、給与の総額とは違うのですか?
年度の終わりに職員が10人に増えたのなら、説明がつくのではありませんか?
短期入所には、何人の職員を置く必要があるのですか?
更新履歴
- 2026-10-12 — 本ページを公開しました(→ NEWS)。