代表者・親族名義への送金 — 2025年1年間の月別内訳
最終更新: 2026年10月23日
主な出典内部資料出典の扱い方
このページは、支出の検証 の「代表者・親族名義への送金」を、決算期の区切りを外して2025年の1年間(暦年)で見直した 詳細版です。支出全体の位置づけや他のカテゴリについては、支出の検証 をご覧ください。
情報源: 内部資料(法人の会計記録・法人口座の取引明細)
何が問題か
法人が代表者や家族に給与・報酬を払うこと自体は、珍しいことではありません。問題は、この送金がどういう性格のお金なのかが記録から分からないまま、公金の制度と結びついていることです。
個人名義の口座へ
約820万円 (30件)
- 0円 1月〜4月は送金なし
5月に月1万円台で始まる - 約261万円 8月=第1期の決算月
決算日 8月31日を含む - 約274万円 11月が最も多い
12月も約225万円 - 約68% 給与総額に占める割合
約1,040万円のうち代表者・親族分
- 記録にあること
- 2025年に代表者・親族名義へ 約710万円。給与の総額の約68%
- 記録が示すこと
- 金額は月1万円台から月約274万円まで動き、毎月一定の給与の形をしていない
- なぜ問題か
- 同じ年度に、事業者は「処遇改善加算の額以上を、職員の賃金に上乗せした」と報告している。この送金をどう数えたかで、報告が成り立つかどうかが変わる
→ 制度との関係は「この送金が、制度のうえで問われうる点」で整理しています。
金額は、法人口座へ戻された分を差し引いた実質額です。この集計は法人の事業年度(第1期=〜令和7年8月/第2期=令和7年9月〜)と期間が重なるため、支出の検証 の第1期・第2期の金額と足し合わせるものではありません。
月別の送金額
代表者本人・親族とみられる個人名義3名に加え、8月28日の代表者・親族以外の個人名義への約110万円(→ 後述)を含めた金額です。
- 1〜4月 0円 0件
- 5月 約8万円 4件
- 6月 約1万円 1件
- 7月 約1万円 1件
- 8月 約261万円 6件 決算月
- 9月 約5万円 5件
- 10月 約43万円 5件
- 11月 約274万円 4件 最多
- 12月 約225万円 4件
- 代表者・親族名義
- それ以外の個人名義(8月28日の1件)
合計は 約820万円(30件)、うち代表者・親族名義分は 約710万円(29件) です。
記録から読み取れる3点
① 送金は2025年5月に始まり、それ以前はゼロ
1月から4月まで、代表者・親族名義への送金は1件もありません。最初の送金は5月で、親族とみられる個人名義への 月1万円台の定額送金 です。給付費の入金がまとまった額になるのは2025年4月以降(→ 収入・求人)で、送金の開始はその直後にあたります。
② 決算月(8月)と11〜12月に、2つの山ができている
5月から7月までは月1万円台です。ところが第1期の決算月にあたる 8月に約261万円、そして 11月に約274万円・12月に約225万円 と、2つの時期に大きく膨らんでいます。あいだの10月は約43万円で、月ごとの金額の差は非常に大きくなっています。
8月の約261万円の大半は、約110万円の2件(親族とみられる個人名義あてと、それ以外の個人名義あて)です。
最も少ない月(6月・7月の約1万円)と最も多い月(11月の約274万円)の差は、約180倍 です。
③ 11月・12月に代表社員あてが突出する
代表社員への送金は、8月が月計約41万円(3件)、9月が約8万円、10月が約5万円であるのに対し、11月は約241万円、12月は約126万円です(いずれも1件)。
- 2025年8月
- 約41万円(3件)
- 9月
- 約8万円(1件)
- 10月
- 約5万円(1件)
- 11月
- 約241万円(1件)
- 12月
- 約126万円(1件)
代表社員あての支払いには、50,978円という同じ金額が繰り返し記録されています(2025年8月に2回、10月に1回)。毎月決まった額の報酬から、社会保険料を差し引いた手取りとみられます。8月の約41万円(3件)は、この報酬の数か月分をまとめて支払った額と金額が合います。一方、11月の約241万円はこの手取りの約47倍、12月の約126万円は約25倍です。毎月決まった報酬とは別の支払いであることが、記録からも読み取れます。
代表社員は看護師で、移動支援(ちるMado)では常勤の管理者兼サービス提供責任者とされ、短期入所の常勤の看護職員にあたるとみられます(届出の看護職員は1名で、開業時の指定申請に添付された看護師免許証も1枚。→ 代表者の「常勤」の二重計上)。役員の報酬には最低賃金は適用されませんが、仮に週32時間働く職員の賃金であれば、大阪府の最低賃金(時間額1,114円)で計算しても月約15万円になります。毎月決まった報酬が手取り約5万円という記録は、常勤で働く人の給与の形とは合いません。役員報酬であれば職員の賃金にはあたらず、職員の賃金であれば水準が合わず、常勤で働いていないのであれば看護職員の配置の前提が問われます。
同じ11月・12月には親族名義への送金も増えており、この2か月だけで約499万円が個人名義の口座へ出ています。
給与総額に占める割合
2025年に「給料賃金」として計上された金額は約1,040万円です。このうち代表者・親族名義への送金が 約710万円(約68%) を占め、それ以外の職員への給与は約329万円にとどまります。
- 2025年の給与総額
- 約1,040万円
- うち 代表者・親族名義あて
- 約710万円(約68%)
- うち それ以外の職員あて
- 約329万円(約32%)
この送金が、制度のうえで問われうる点
送金の性格(給与・役員報酬・立替金の精算など)は、記録からは確定できません。そのうえで、性格によって次の3つの制度との関係が変わります。いずれも、賃金台帳などの書面と照らせば確認できる事柄です。
① 処遇改善加算 ― 代表社員あての支払いは「職員の賃金」か
処遇改善加算は、職員の賃金を上げるために事業所に支払われるお金です。事業者は、受け取った額以上を職員の賃金の引き上げに充てる約束で受け取ります。しょーとすていYorimado を運営する合同会社Yorimadoは、令和7年度に「加算の額(約899万円)以上を上乗せした」と報告しています(→ 処遇改善加算の検証)。
令和7年4〜12月の給与 約1,013万円のうち、約421万円は代表社員あてです。代表社員は、会社の業務を執行する立場の社員です(登記簿で確認できます)。その報酬(役員報酬)は、職員の賃金にはあたらないため、上乗せには数えられないと考えられます。代表社員あての支払いが役員報酬であれば、上乗せの報告を支える「職員の賃金」は、そのぶん小さくなります。
また、上乗せのうち一定の額は、毎月決まって支払う基本給・手当で行う必要があります。11月・12月の代表社員あての大口(計 約367万円)は、毎月決まった支払いではありません。
② 管理者の勤務 ― 常勤の職員への賃金の記録
大阪市への届出では、しょーとすていYorimado の管理者は「常勤・専従」とされています(→ 管理者の勤務実態)。常勤の職員であれば、賃金は毎月、決まった日に支払われ、記録に残るのが通常です。代表者・親族名義への送金に、届出上の職員への賃金がどれだけ含まれ、それが届出の勤務と見合うのかは、賃金台帳・出勤簿と照らせば確認できます。
③ 公金の返還が必要になった場合 ― 法人の外へ出た資金
給付費や加算に返還が必要になった場合、返還するのは法人です。合同会社の社員は、出資の範囲を超えて会社の債務を負いません(会社法)。返還が生じた場合に問題になるのは、そのときに法人に残っている財産です。
確認できたこと・できていないこと
確認できたこと — 上記の月別の送金額・件数、給与総額に占める割合が、いずれも会計記録上、実際に存在すること。
確認できていないこと — 各送金の性格。役員報酬・給与・立替金の精算・貸付金など、正当な説明が成り立つ余地があります。給与や役員報酬であることを示す賃金台帳等との対応は、記録からは確認できていません。また、法人の給与のうち何割を代表者・親族が受け取るのが適正かを定めた基準はなく、この割合自体が直ちに問題となるものではありません。
当サイトの見方 — 1年を通してみると、送金額は月1万円台から月274万円まで大きく動いており、山ができるのは 決算月(8月)と11〜12月 です。毎月の給与や定額の役員報酬であれば、金額はおおむね一定になるはずで、この形は定期的な支払いとは異なります。あわせて、職員給与の2倍を超える額が代表者・親族名義へ向かっている点は、管理者・人員配置 で整理した人員体制と照らして確認が必要だと考えます。
科目が確認できない個人名義への送金 約110万円
上の月別集計に含まれる8月の約110万円について、個別に整理します。令和7年8月28日(決算日の3日前)に、個人名義の口座へ 約110万円 が送金されています。代表者・親族以外の個人名義です。
- 2025年8月28日
- 約110万円(個人名義あて・決算日の3日前)
- 経費の科目
- 確認できていない(会計記録上の分類は正確でない可能性がある)
- 5日前(8月23日)の送金
- 親族とみられる個人名義へ、1円単位で同額の約110万円
- 2025年の支出のなかでの位置
- 給与の支払いを除くと、年間で最も高額な1件(2位は事業所の賃料 約86万円)
確認できたこと — この日付・金額の送金が記録上、実際に存在すること。送金先が個人名義であること。決算日(8月31日)の3日前にあたること。給与を除く2025年の支出のなかで最も高額な1件であること。5日前の8月23日に、親族とみられる個人名義へ1円単位で同額の送金が行われていること。
確認できていないこと — この支出の内容と、経費としての科目。会計記録には科目の記載がありますが、その分類が実態と合っているかを確かめられないため、当サイトでは科目不明として扱います。何らかの役務・工事への対価であれば、個人事業主への支払いとして個人名義口座あてになることは自然であり、正当な説明が成り立つ余地は十分にあります。見積書・請求書との対応は、記録からは確認できていません。
当サイトの見方 — 個人名義への支払いそのものは珍しくありません。論点は、その金額と時期 です。給与を除けば年間で最も高額な支出が、決算日の3日前に、個人名義あてに1件だけ行われており、しかも5日前の親族名義への送金と1円単位で同額です。何に対する支払いだったのかは、確認されるべき点だと考えます。
出典と留保
- データ:法人の会計記録(仕訳帳)および法人口座の取引明細
- 掲載した金額は、上記記録からの 集計値 です。個々の取引の最終的な使途は確認できていません。
- 法人の収入と支出は同じ口座のなかで混ざるため、個々の支出が「どの収入を原資としたか」を特定することはできません。
- 事業運営に関与しない私人の氏名・口座情報は記載していません(編集・検証ポリシー の取り扱い原則に基づく)。
- 本ページは不正があったと確定するものではなく、疑い・要検証 として整理したものです。最終的な評価・判断は所管行政庁に委ねられます。
- 訂正・反論の受付 — 掲載された当事者を含め、どなたからでも受け付けます。窓口と手続きは 編集・検証ポリシー のとおりです。
よくある質問
9月だけ約5万円と少ないのはなぜですか?
支出の検証ページの「第2期 約646万円」とは、どういう関係ですか?
代表者や親族への送金は、給与ではないのですか?
11月の約241万円は、賞与ではないのですか?
給与の約68%が代表者・親族向けというのは、それ自体が問題なのですか?
法人が代表者や家族に給料を払うのは、違法なのですか?
合同会社の代表者は、会社のお金をどこまで受け取れるのですか?
更新履歴
- 2026-10-23 — 代表社員と短期入所の看護職員の関係について、届出の看護職員が開業時から1名で、開業時の指定申請に添付された看護師免許証も1枚であることを根拠として加え、記述を改めました。
- 2026-10-20 — 冒頭に「何が問題か」を設け、「この送金が、制度のうえで問われうる点」(処遇改善加算・管理者の勤務・返還が必要になった場合)の節と、よくある質問3件を追加しました。8月の送金額の内訳を一文補いました。代表社員あての支払いに繰り返し現れる定額と、11月・12月の支払いとの比較、常勤の職員の賃金としての水準との比較を補いました。
- 2026-07-27 — 支出の検証 から独立したページとして公開しました。2025年の暦年1年間の月別内訳を、全体像の図と月別グラフで掲載しています(→ NEWS)。