障害福祉の監査は足りているか — 大阪市の苦情・相談570件と運営指導の実態

最終更新: 2026年10月5日

主な出典公文書公開情報出典の扱い方

このページについて

【2026年7月の報道から】 自治体が障害福祉サービス事業所に行う「運営指導」について、読売新聞は「障害者事業所への自治体の運営指導、一昨年度の目標達成1割余り…不正受給32億円超」と報じました(読売新聞オンライン 2026年7月4日)。厚生労働省も2026年6月、障害福祉事業者に対する指導・監査のマニュアルを全国の自治体へ通知しています(福祉新聞 2026年6月30日)。

このページは、この「監査・運営指導が通報の量に追いついていない」問題を、大阪市の情報公開データ(半年で約570件の苦情・相談)から具体的に検証するものです。

本サイトでは、合同会社Yorimadoが運営する事業所について、情報公開で得た公文書をもとに運営実態を検証しています。ただ、給付費の実態や書類の矛盾のような問題は、なぜ長く表面化しないのか——という疑問が残ります。

その背景を考えるうえで手がかりになるのが、大阪市の情報公開制度で得た 「苦情・相談等記録一覧」(令和7年9月26日付で取得)です。この一枚のリストからは、大阪市に寄せられる苦情・相談の「量」 と、それを受け止める監査・指導体制の関係 が読み取れます。

このページは特定の事業所を告発するものではなく、障害福祉サービス全体の監査(運営指導・実地指導)が、寄せられる声の量に追いついているのか を、公開データと国の資料をもとに整理・問題提起するものです。

情報公開でわかった「声の量」— 半年で約570件

大阪市に情報公開請求して得た「苦情・相談等記録一覧」(全13ページ)には、事業所への苦情・相談・通報が連番で記録されています。開示された連番から、令和7年度前半のおよそ半年で約570件 が記録されていたことがわかります。

記録された苦情・相談等
約570件
連番1〜572(令和7年度前半・約6か月)
対象となった事業所
約508事業所
事業所番号で特定できるもの(実数)
市内の障害福祉事業所
約8,000
令和8年6月1日現在・大阪市公表一覧より
半年で声が寄せられた割合
約6%
約508 ÷ 約8,078。およそ16事業所に1件

対象を事業所番号で数えると 約508の事業所(ほかに事業所を特定できない記録が約120件)。同じ事業所が期間中に複数回記録されている例もありました。

「約570件」は開示された連番の最大値(572)に基づく概数です。期間は請求日(令和7年9月26日)と資料名(令和7年度)から令和7年度前半と判断しています。

情報公開で開示された記録(抜粋)

以下は、大阪市が情報公開した「苦情・相談等記録一覧」の実物からの抜粋です。全572件のうち、連番1・2・76・99を抜き出しました。法人名・事業所名・事業所番号・サービス種別は開示され、受付日・通報内容・対応方針などの欄は黒塗り(非開示)です。

この抜粋には、本サイトが検証している合同会社ちるどれん(連番76)と合同会社Yorimado(連番99・しょーとすていYorimado)も含まれています。記録に載ること自体が不正を意味するものではありません。

黒塗りは原本の非開示部分です。なお、受付者欄に一部残っていた担当者名は、個人情報保護のため当サイトで伏せています。
大阪市が情報公開した「苦情・相談等記録一覧」の抜粋(連番1・2・76・99)。法人名・事業所名・事業所番号・サービス種別は開示され、受付日・通報者・通報内容・対応方針などの欄は黒塗り(非開示)。

大阪市が情報公開した「苦情・相談等記録一覧」の抜粋(連番1・2・76・99)。法人名・事業所名・事業所番号・サービス種別は開示され、受付日・通報者・通報内容・対応方針などの欄は黒塗り(非開示)。

分母は約8,000事業所 — しかも増え続けている

大阪市が公表している事業所一覧(居宅介護から障がい児入所施設まで全30種別)を集計すると、市内の指定障害福祉サービス事業所は 実数で約8,078(延べ13,590指定・令和8年6月1日現在)にのぼります。

種別ごとに件数の多い順に並べると、次のとおりです(延べ・事業所番号ベース)。

サービス種別事業所数
居宅介護2,444
重度訪問介護2,171
就労継続支援B型1,315
放課後等デイサービス1,090
児童発達支援1,053
同行援護897
共同生活援助(グループホーム・主たる事業所)741
計画相談支援695
生活介護426
就労継続支援A型279
(ほか約20種別)—

出典:大阪市「障がい者・障がい児事業所、施設等の情報」掲載の種別別CSV(令和8年6月1日現在)を集計。数値は概数。一つの事業所が複数のサービスを提供する場合があるため、種別の合計(延べ13,590)と実数(約8,078)は一致しません。

障害福祉サービスの事業所数は全国的に増え続けており、大阪市も例外ではありません。声を受け止める側(監査・指導)が変わらなければ、事業所が増えるほど、一つひとつに目が届きにくくなります。

運営指導は「3年に1回」の目安に対し、全国実施率16.5%

では、寄せられた声を受け止める「運営指導(旧・実地指導)」は、どれくらいの頻度で行われているのでしょうか。厚生労働省・こども家庭庁の資料によれば、令和5年度の運営指導の実施率は全国で16.5% でした。

運営指導の実施率(全国)
16.5%
令和5年度。実施件数 ÷ 全事業所数
障害福祉サービス
15.8%
指定障害福祉サービス事業者等
障害児通所支援など
18.8%
指定障害児通所支援等事業者等
国の実施の目安
3年に1回
指導指針「おおむね3年に1度」

実施率16.5%を単純に置き換えると、一つの事業所が運営指導を受けるのは平均して約6年に1回 という計算になります。指導指針が求める「おおむね3年に1回」の、およそ半分の頻度です。

16.5%(最低1.0%〜最高48.8%)は全国平均で、自治体によって大きな差があります。大阪市個別の実施率は今回の資料からはわからないため、大阪市がこの数値だと断定するものではありません。出典:厚生労働省・こども家庭庁「障害福祉分野における運営指導・監査の強化について」(令和5年速報値)。

なお、今回のリストで声が多く寄せられていたのは、就労継続支援B型・居宅介護・グループホーム・放課後等デイサービス・児童発達支援 といった種別でした(開示されたサービス種別欄より)。これは後述する、国が令和7年度から指導を強化する対象とも重なります。

国も認める「体制が追いついていない」

体制と件数の関係について、国自身が資料のなかで次のように述べています。

「(指導方針を通知しているが、)障害福祉サービス事業所等の数が年々増加していること等により、自治体の体制整備が追いついていない。」

「職員不足の中で 自治体がより効率的に実効性のある運営指導・監査ができるよう、(令和7年度中に)マニュアルを作成」

—— 厚生労働省・こども家庭庁「障害福祉分野における運営指導・監査の強化について」

つまり、運営指導が追いついていないのは、現場の職員一人ひとりの問題ではなく、急増する事業所数に対して体制(人員)が構造的に不足している ことの表れ、と読み取れます。

令和7年度からの「強化」— 裏を返せば手薄だった

こうした状況を受け、国は令和7年度から、次のように運営指導の頻度を引き上げる方針を示しました。

就労継続支援A型・B型、グループホーム、児童発達支援、放課後等デイサービス
運営指導を 3年に1回以上
その他のサービス
指定の有効期間(6年)内に 少なくとも1回以上
大規模法人(100以上の事業所を運営)
おおむね 3年に1回の実地検査、書面検査は年150法人規模

強化の対象に挙がった5つのサービス(就労A・B型、グループホーム、児発、放デ)は、今回のリストで声が多く寄せられていた種別と重なります。 令和7年度から改めて「3年に1回以上」と念押しされたということは、裏を返せば、これまでは目が届きにくかった ことの証左とも考えられます。

運営指導から監査へ — 処分に至る一般的な流れ

ここまでは「声の量」と体制の話でした。では、運営指導や通報をきっかけに、事業所はどのような手順で「監査」や「行政処分」に進むのでしょうか。厚生労働省が令和8年(2026年)6月に示した 「指定障害福祉サービス事業者等に対する監査マニュアル」 をもとに、一般的な流れ を整理します。

ここで説明するのは、国のマニュアルに書かれた制度の一般論です。特定の事業所が今どの段階にあるか、また今後どうなるかを示すものではありません。運営指導で指摘を受けたことが、直ちに監査や処分につながるわけでもありません。

「運営指導」と「監査」はどう違うのか

名前が似ていますが、目的も根拠も異なります。

運営指導(旧・実地指導)監査
目的事業所の運営をよくするための助言・指導違反や不正の疑いについて事実を確認し、必要な措置を決める
時期の目安定期的に実施(国の目安は3年に1回程度)通報・苦情・運営指導での発覚などがあり、必要と認めたとき
法律上の根拠障害者総合支援法 第10条・第11条障害者総合支援法 第48条(立入検査・帳簿書類の提出命令・質問など)
主な結果助言、改善の指導行政指導、勧告、命令、効力停止、指定取消

監査のきっかけになるもの

マニュアルによると、監査を行うきっかけは次のとおりです。

  • 運営指導で、人員基準・運営基準の違反や不正請求の疑いなどが確認された場合(検討のうえ、監査に移行することがあります)
  • 通報・苦情・相談(利用者本人・家族・職員などから)
  • 請求データの分析で、ほかの事業所と違う特異な傾向が見つかった場合
  • 市町村の虐待判断など、障害者虐待の疑いがある場合

監査の対象になるのは、①人員・運営基準の違反(またはその疑い)、②報酬請求の不正(またはその疑い)、③不正の手段による指定、④利用者への人格尊重義務違反・障害者虐待、の4つの場合です。

マニュアルは、通報者からの情報は「あくまで監査のきっかけ」であり、そのまま処分の根拠にはできないと明記しています。行政が自ら事実を確認する(=監査を行う)ことが必須とされています。

流れの全体像

国の監査マニュアルには、次の「監査業務全体の流れ図」が載っています。運営指導と通報等が入口になり、行政指導で終わる道と、行政処分に進む道に分かれることがわかります。図をタップすると拡大できます。

出典:厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部 企画課監査指導室「指定障害福祉サービス事業者等に対する監査マニュアル」(令和8年6月)図表1。
厚生労働省「監査マニュアル」図表1 監査業務全体の流れ図。運営指導・通報等から、情報の精査、監査実施の決定、立入検査、事実認定、対応の決定へ進み、行政指導(改善勧告→改善命令・公示)か行政処分(聴聞→指定取消、弁明の機会→効力の全部又は一部停止)に分かれる。

厚生労働省「監査マニュアル」図表1 監査業務全体の流れ図。運営指導・通報等から、情報の精査、監査実施の決定、立入検査、事実認定、対応の決定へ進み、行政指導(改善勧告→改善命令・公示)か行政処分(聴聞→指定取消、弁明の機会→効力の全部又は一部停止)に分かれる。

図を文章にすると、次のとおりです。

  1. きっかけ:運営指導での発覚、通報・苦情・請求データの分析など。
  2. 監査を行うかの検討:情報の確かさを確認し、必要と認めれば監査を決定します。運営指導の最中に監査へ切り替わることもあります(その場合は口頭で通告し、後から文書で実施通知を出すのが望ましいとされています)。
  3. 監査の実施:事業所への立入検査、帳簿書類の提出、関係者への個別の聞き取りなどを行います。証拠が失われないよう、書類はできるだけ当日に写しを取る、聞き取りは一人ずつ行って内容を確認するなどの工夫が示されています。
  4. 結果の判断:違反や不正があったか、その程度はどうかを判断します。
  5. 行政上の措置:軽いものから順に「行政指導」「勧告」「命令」「効力の一部・全部の停止」「指定取消」があります。
  6. 返還請求・公表:不正請求と認められた場合は、報酬の返還請求が行われます。指定取消などは公示されます。

監査の実施通知には、根拠規定・日時・場所・必要書類・虚偽報告に対する罰則などが記載されます。監査を行う理由は、証拠保全や通報者保護のため、事業所に伝えなくてよいとされています。

結果によって、措置は大きく変わる

監査の結果は「不正とまでは言えないが、基準を満たしていない」場合と、「不正が認められる」場合で大きく分かれます。

措置内容主な対象・特徴
行政指導口頭の注意・助言、改善報告書の提出など運営に改善を要する点がある場合。法的な強制力はない
勧告期限を定めて改善措置を求める強めの行政指導人員基準違反・運営基準違反などが対象。期限内に従わないと公表される場合がある
命令勧告に従わなかった場合に、措置をとるよう命じる命令を出した場合は公示される。事前に弁明の機会が必要
効力の一部・全部停止新規利用者の受入停止、報酬請求額の上限設定など期間を定めて行う。事前に弁明の機会が必要
指定取消事業者としての指定を取り消す事前に聴聞が必要(弁明では代えられない)。取消は公示される

勧告は人員・運営基準違反に限られ、不正請求や人格尊重義務違反には勧告を行えない点も、マニュアルに明記されています。

「不正請求」と「請求の誤り」の違い

報酬の請求に問題が見つかった場合、結果は次の2つに分かれます。

不正請求と認定
法令や基準に違反し、かつそれを偽って請求したと認められた場合。指定取消などの行政処分を検討するほか、市町村が不正利得の返還を求め、返還額に40%の加算金が上乗せされる(障害者総合支援法 第8条第2項)。
請求の誤り(過誤調整)
不正とまでは認定せず、事業所が誤った請求を取り下げて正しく請求し直す手続き。市町村・国保連(国民健康保険団体連合会)と事業所の間で差額を精算する。

マニュアルは、不正の認定は故意が認められる場合に限られないとも述べています。「ほとんど故意に近い」重大な不注意(重過失)がある場合は、故意とほぼ同じに扱い、不正と認定することを妨げないとされています。一方で、不正と認定するか、請求の誤りにとどめるかは、事実関係を踏まえて慎重に判断するよう求めています。

また、減算の規定があるのに減算せずに請求していた場合の返還額は、原則として報酬全額ではなく、減算されるべきだった分です。返還請求の権利は5年で時効になるため、指定権者は市町村へ速やかに情報を共有するよう求められています。

処分の前には「弁明」「聴聞」の手続きがある

行政処分は、一方的に決められるものではありません。不利益な処分の前には、事業者が意見を述べる機会が法律で保障されています(行政手続法)。

  • 命令・効力の一部停止:事前に「弁明の機会」を与える。
  • 指定取消:事前に「聴聞」を行う(弁明では代えられない)。
  • いずれも、処分と同時に理由の提示が必要。

さらに、処分を逃れる目的の「事業廃止」を防ぐ仕組みもあります。廃止届は廃止の1か月前までに出す必要があり、立入検査後に行政が「聴聞決定予定日」を通知した場合、その間に廃止届を出すと、原則として新たな指定・更新を受けられなくなります(欠格事由)。

監査の結果、行政処分(改善命令を除く)を行う場合、自治体は聴聞などの前に厚生労働省へ報告することになっています。また、監査で犯罪があると思われる事実を確認した場合は、公務員の告発義務(刑事訴訟法第239条第2項)の対象になります。なお、監査と警察の捜査は目的が異なり、互いに独立して行われます。

通報した人はどう守られるのか

マニュアルは、通報者の保護にも多くを割いています。

  • 事実確認は、事業者に通報者が特定されないよう配慮して行う。
  • 通報が公益通報にあたる場合は、消費者庁のガイドラインに従い、措置をとったときは内容を遅滞なく通報者に通知する。ただし、事業者の信用やプライバシーの保護に支障がある場合は、監査をするかどうか、したかどうかも含めて通知できない場合がある。
  • 通報の受理から対応終了までの標準的な期間を定める、または見込みの期間を通報者に知らせるよう努める。

つまり、通報したあとに「どうなったか」を知らされないことは、制度上ありうる設計です。だからこそ、情報公開制度で公文書を確認することが、市民が実態を知る数少ない手がかりになります。

運営指導で指摘を受けた事業所は、どうなるのか

運営指導で指摘を受けた場合、多くは改善報告などの行政指導で終わります。ただし、不正請求や重大な基準違反の疑いが確認された場合には、上記のとおり監査に移行することがあります。運営指導の最中に監査へ切り替わる場合もあります。

その後は、事実確認(監査)→ 結果の判断 → 措置(指導・勧告・命令・停止・取消)→ 必要に応じて返還請求、という順に進みます。どの段階で止まるかは、確認された事実と、故意・過失の程度、利用者保護への影響、改善の状況などによって異なります。

大阪市は運営指導の際の「事前提出資料一覧」「当日準備書類一覧」を公表しています。運営指導では、運営規程・勤務実績・平均利用者数・各種マニュアルなどが確認されます。出典は下部に記載しています。

まとめ — 「声の量」に監査が追いついていない

ここまでの公開データを重ねると、次の構造が見えてきます。

増え続ける事業所と、寄せられる声の量に対して、限られた監査の目がそのすべてには行き届きにくい。 この構造こそが、個々の事業所の問題が長く表面化しない一因になっているのではないか、というのが本ページの問題提起です。

だからこそ、関わる人がおかしいと感じた点を、指定権者である大阪市福祉局運営指導課に届けること が重要になります。行政に届く声が増え、記録が積み重なることが、限られた監査の目を「本当に必要な事業所」に向けさせる力になります。全国で相次ぐ不正受給・行政処分の事例は 障害福祉の不正・行政処分ニュースまとめ に整理しています。

よくある質問

大阪市には、障害福祉サービスの苦情・相談はどのくらい寄せられていますか?
大阪市が情報公開したリストによると、令和7年度前半のおよそ半年で約570件が記録され、事業所番号で特定できるものだけで約508事業所が対象になっていました。市内の障害福祉事業所(約8,000)の約6%、およそ16事業所に1件の割合です。数値は開示された連番・事業所番号に基づく概数です。
大阪市内に障害福祉サービスの事業所はいくつありますか?
大阪市が公表している事業所一覧(令和8年6月1日現在・全30種別)を集計すると、実数で約8,078事業所(延べ13,590指定)です。居宅介護、重度訪問介護、就労継続支援B型、放課後等デイサービス、児童発達支援などが多くを占めます。
障害福祉サービスの運営指導(実地指導)は、どのくらいの頻度で行われていますか?
国の指導指針は「おおむね3年に1回」を求めていますが、令和5年度の運営指導の実施率は全国で16.5%(障害福祉サービス15.8%、障害児通所支援など18.8%)にとどまります。単純に置き換えると平均で約6年に1回で、目安の半分ほどの頻度です。なお16.5%は全国平均(最低1.0%〜最高48.8%)で、大阪市個別の数値ではありません。
なぜ、不適切な運営が見過ごされやすいのですか?
国自身が「事業所の数が年々増加していることなどにより、自治体の体制整備が追いついていない」「職員不足」と認めています。事業所は増える一方で監査・指導の体制が追いつかず、寄せられる声の量に処理が追いつかない構造があると読み取れます。国は令和7年度から、就労継続支援A・B型、グループホーム、児童発達支援、放課後等デイサービスの運営指導を『3年に1回以上』に強化する方針を示しました。
運営指導と監査は何が違いますか?
運営指導は、事業所の運営をよくするための助言・指導で、定期的に行われます(根拠は障害者総合支援法第10条・第11条)。監査は、人員・運営基準の違反や報酬請求の不正、虐待などの疑いについて事実を確認し、必要な措置を決めるためのもので、立入検査や帳簿書類の提出命令などを伴います(同法第48条)。運営指導で不正の疑いなどが確認された場合は、監査に移行することがあります。
運営指導で指摘を受けると、必ず監査になりますか?
いいえ。国のマニュアルでは、運営指導で違反の事実が確認された場合に監査を行うことを「検討する」とされています。軽微な指摘は改善報告などの行政指導で終わることが多く、不正請求や重大な違反の疑いがある場合などに監査へ進みます。
監査のあと、どのような処分がありますか?
軽い順に、行政指導、勧告、命令、指定の効力の一部・全部の停止、指定取消があります。命令や停止の前には弁明の機会、指定取消の前には聴聞が必要です。不正請求と認められた場合は、行政処分に加えて、報酬の返還と40%の加算金が求められます。
「不正請求」と「過誤調整」はどう違いますか?
不正請求は、法令や基準に違反し、かつそれを偽って報酬を請求した場合の認定です。過誤調整は、不正とまでは認定せず、事業所が誤った請求を取り下げて正しく請求し直す手続きです。どちらにするかは、事実関係をふまえて慎重に判断するよう、国のマニュアルが求めています。
事業所の運営について気づいた点があれば、どこに伝えればよいですか?
指定権者である大阪市福祉局運営指導課(電話 06-6241-6520)が、障がい福祉サービスの基準違反などの情報提供・通報の窓口を兼ねています。日常的に運営に触れている利用者・家族・職員・関係機関の方が気づいた点を届けることが、限られた監査の目を必要な事業所に向ける第一歩になります。

出典と数え方

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